わたしの山日記
 
南アルプス前衛峰
鳳凰三山縦走
2006.5.29(月)〜31(水) 夜行1泊2日

◆投稿者:久野 衛様
 6年前にオベリスクの油絵に出会い、外国の山かと思ったら南アルプスの鳳凰三山の地蔵岳を描いたものでした。 以来、この眼で見たいという思いは募っても、自身の体力・体調と標高2800mという壁を越えるのに今までかかりました。
 今回は私にとって、全てが最良の条件に恵まれた素晴らしいものでした。ネイチャーツアーズの戸頃様をはじめご一緒いただいた12名の皆様に深く感謝を申し上げながら、その山行きを綴ってみました。
◆5月29日(月)〜30日(火)
21:00/自宅発
 高い山は初体験、ワクワクドキドキしながら一日かけて準備した荷物と共にネイチャーのバスに乗車。

02:36/御座石鉱泉
御座石鉱泉(1,065m)に到着、仮眠。
05:30/登山口発
 気温は 10℃位か?、晴れ、無風、腹ごしらえを済ませた後、残雪なしの情報に大喜びでアイゼンは置き去り。御座石鉱泉の女将さんの“行ってらっしゃい!新緑が最高だョ〜”の声に見送られスパッツを付けて標高2382mの鳳凰小屋に向かって歩き出す。
09:30/燕頭山(2,105m) 
 1時間毎の休憩を含め、時間当たり260m登ってきた。リーダーの戸頃さんのペースに感謝。登りはきつかったが歩きやすい登山道でスパッツも外し、途中、動植物に詳しい黒田さんに白花延齢草(しろばなえんれいそう)、燕万年青(つばめおもと)、一葉欄(いちようらん)や鳥の囀りの正体を教わりながら、この辺までは新緑のなか若葉マークで元気溌剌順風満帆。


←新緑にミツバツツジが映えて美しい
 地蔵岳が木々の間に垣間見えるようなった頃、時間とともに足が重くなりエアーサロンパスの出番。「リーダーが今日のうちに地蔵岳に行ってみますか?」と問いかけてきた時は耳を疑い、誰かが色よい返事をしたら「自分は駄目かと」覚悟した瞬間でもあったが、予定通りということで無事クリアー。痙攣する一歩手前で小屋に到着。

←サロンパスで自ら治療する久野氏
11:52/鳳凰小屋(2,382m)着
 シャイな感じのオーナーで写真家でもある細田さんにご挨拶と同時にビールを注文、ギンギンに冷えた缶ビール600円は高いとは思わなかった。この小屋は冬季小屋を含め3棟150人収容可能とのこと、今日は他のお客さん3人と我々の合計17名で貸切状態。
 二階が宿泊スペースでロフト式の二段寝室、上が男性、下が女性と決まり荷物を整理し早速寝床の用意。敷布団、チャックでシュラフ式になる掛け布団、その上に毛布という装備。時間は昼の12:30頃で寝るには早い。
 地蔵岳と観音岳が眺望できる雰囲気の良いたたずまいのテラスで皆さんの背負ってきたご馳走と飲物で前祝。私の体調を気遣って同行してくれた木村君がコンロと網で焙ったベーコン・カワハギはビールのお替りを督促する抜群の効果があった。
17:30/夕食
 夕食まで元気な方は乾杯を継続中であったが、私は明日の脚の具合も気になり2時間程昼寝、細田さんの手作りカレーは自家発電の蛍光灯のもと、素朴な美味しさがあり遠慮なくお替り。一階に炬燵があり、食後に談笑中の元気な仲間に入れていただき、川田さんのすすめでウイスキーを何年ぶりかでストレートでいただくが胃袋に届く前に食道辺りで蒸発してしまう感触であった。
18:30頃には自家発電も停止し、ランプを灯し昔話に華が咲き、部屋に飾ってあった若かりし頃の細田さんはジャニーズ系の好男子だった。1930就寝
 皆さん既に寝床のなか、音を立てないように上段に這い上がり、靴下を脱いでフリースとズボンを着たまま例のシュラフもどきに潜り込む。少し寒いせいもあり寝つかれないが、脚がシビレる感触でジーとして11時頃まで覚えているが、瞬きしたら4:30。
◆5月31日(水)
04:30/鳳凰小屋
 抜けるような快晴、外気温3℃、無風で清々しい朝を迎える。
夜中に外で満天の星空を鑑賞した人が、星が手に届くような凄い夜空だったという話を聞いて失敗したなと思ったが後の祭り。あとで明け方階段を転げ落ちた人が居たと聞き、自分の脚の状態では頭から落ちて救急へり騒ぎになったかもと思い諦める。
05:30/朝食
 一応、歯磨き洗顔のあと、ご飯、味噌汁、生卵、のり、お茶をペロッと平らげる。
06:00/鳳凰小屋発
小屋の細田さんに各々お礼の挨拶をしながらいよいよ三山縦走へ出発。
07:00/地蔵岳・賽の河原(2,750m)
 急な登りで若干の残雪もあるが、一晩休んだ脚も何とか前に動き出す。油絵で見たオベリスクがだんだん目の前に迫ってくる。自然が創りあげた見事な芸術に感激、感動し、賽の河原の石仏やお地蔵様を拝んで信仰の山の実感を深々と胸に刻み、念願叶って来られたたことに感謝、感謝。
 先程の強烈な風は止み、鳳凰三山最高峰の観音岳に向かう稜線からは残雪の北岳・間ノ岳等が紺碧の空に浮かび、並び、広がり、標高2800mの快晴の散歩道は筆舌には尽くしがたい絶景。
09:00観音岳(2,840m)
 稜線からの360°パノラマ展望を楽しみながら観音岳にて小休止。日本カモシカが時折立ち止まって我々をジーと見ている姿を遠くに見ながら、富士山を正面に薬師岳に到着。


←背景は北岳(白峰三山)

09:30薬師岳(2,780m)
家から持参した貴重な最後のオニギリでお腹を満たし、心の中でお天気の神様にお礼を申し上げ、10:00に下山開始。
 下り始めて1時間もしないうちに振り返ると三山の姿が仰ぎ見え、あの山を登ってきた実感と人間の一歩一歩は凄いなと感心。
 しかし、もっとも驚いたのは女性の方々の足腰の強靭さであった。下り2時間で私の膝の内側と太ももの表側の筋肉は悲鳴をあげ自立性を失いつつあった。
13:20/林道出合
 ネイチャーバスが待機してくれていて、それに乗り込み事無きを得る。「まだ甘いな〜もっと鍛えなければ」と反省材料となる。
13:50/御座石鉱泉着
 風呂は5〜6人で満員、女性が先に入り男性は二手に別れ入浴、その間、冷たい缶ビールを一杯。500円、小屋で600円、あんな高い所まで運賃100円じゃ否だなと妙なこと考えながら一気飲み。そんなに丁寧に洗っていた訳でもないのに風呂上りは私がビリ。私が乗り込むと同時にバスも発車する。
1600御座石鉱泉発
1700中央自動車道 談合坂SAに寄り、けじめのない腹ごしらえ、今回はビリから二番目。
2100土浦、大和経由で48時間振りに我家に無事帰還。体重計ったら行く前よりも増えてました???。


 脚の筋肉は、昨日も今日も、たぶん明日も明後日も階段の上り下りの度に悲鳴を上げるでしょうが、鳳凰三山の余韻を楽しむことにします。
戸頃さんをはじめ、ご一緒いただいた皆様、ほんとうに楽しい山行きを有難うございました。これに懲りずに又ご一緒下さい。

(文:久野 衛)